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early american furniture、shaker furniture、そして mid-century modern
暮らしの美意識から見る、アメリカ家具の流れ

 昨年の夏、アメリカ・マサチューセッツ州で開催される、全米最大級の蚤の市「Brimfield Antique Show(ブリムフィールド アンティークショー)」を訪れました。 そこで買い付けた家具や雑貨が、今回 The Conran Shop に並びます。

 近年、世界的にシェーカー家具やアーリーアメリカン家具への関心が高まっています。 Vitra Design Museumでのシェーカー展をはじめ、国内でも関連イベントを目にする機会が増え、素朴で実用的な家具の美しさが、改めて見直されているように感じます。 そして、その先には、Mid-Century Modern や Herman Miller といった、20世紀のモダンデザインへと繋がる流れがあります。

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暮らしのために生まれた家具
Early American Furniture

 17〜18世紀、アメリカへ渡った移民たちは、新しい土地で暮らすための家具を作り始めました。イギリスのカントリー家具をベースにしながらも、アメリカではより素朴で実用的に作られました。 ニューヨーク周辺ではオランダ系移民も多かったので、箱物家具や収納文化にはオランダ家具の感覚が残り、ペンシルベニア周辺ではドイツ系移民による民芸的な塗装文化も見られるなど、地域ごとに異なる表情が生まれました。 しかし、それらに共通していたのは、「生活のための家具」であったこと。豪華さよりも、軽さや修理のしやすさ、日々の暮らしに寄り添う実用性が大切にされていました。

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 今回買い付けた、赤いバターミルクペイントの収納家具も、その流れを感じさせる一台です。 メイン州沿岸部で見られる、使い込まれた色合いの家具は、高級家具ではなく日々の生活で使われ、何度も塗り重ねられながら受け継がれてきました。 塗装には「バターミルクペイント」と呼ばれる、牛乳由来の成分と天然顔料を用いた古い塗装技法が使われています。

 Shaker家具にも見られるこの塗装は、マットな質感と独特のPATINA(経年変化による風合い)を生み出し、現代の塗装では表現できない深みをもたらします。 その褪せた色合いは、Ralph Lauren や Bruce Weber にも愛され、現代家具と組み合わせながら楽しまれてきました。長い時間を経て生まれる風合いを愛でる感覚は、千利休が長年の使用で貫入が入った古い茶器を愛でる美意識にもどこか通じるものがあります。

 こうした家具は、アンティークディーラーの間では、産地を象徴するように「MAINE(メイン)」と呼ばれることもあります。 今回のようなアメリカ東海岸の蚤の市だからこそ出会えた、土地の空気を感じさせる家具です。

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美しさは、正しさから生まれる
Shaker Furniture

 そこからさらに精神性を研ぎ澄ませていったのが、Shaker Furnitureです。シェーカー教徒たちは、「美しさは正しさから生まれる」と考えていました。

装飾を削ぎ落とし、

 掃除しやすいこと
 壊れにくいこと
 軽く扱いやすいこと
 空間を清潔に保てること

を大切にした結果、現代から見ても驚くほどモダンな家具が生まれました。

 それは単なるミニマルデザインではなく、"労働と生活の倫理"から生まれた美しさだったのだと思います。 その感覚は、日本の民藝運動にもどこか通じています。柳宗悦や河井寛次郎の「用の美」、さらには George Nakashima や Donald Judd にも、この精神性は繋がっているように感じます。

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Bauhausから、Mid-Century Modernへ

 20世紀に入ると、戦争の影響を受けたヨーロッパの建築家やデザイナーたちがアメリカへ渡ります。 Bauhausで活躍した Walter Gropius や Mies van der Rohe、László Moholy-Nagy らの思想は、アメリカのデザイン文化に大きな影響を与えました。

 そこで重要だったのは、「芸術と産業をつなげる」という考え方です。優れたデザインを、一部の富裕層だけのものではなく、社会全体へ広げていく。 その思想が、後のアメリカ家具へ大きく繋がっていきます。さらに、Black Mountain Collegeでは、家具、建築、音楽、工芸などを横断しながら、「生活そのもの」を実験するような教育が行われていました。

 芸術を特別なものにせず、暮らしの中へ取り込んでいく感覚は、後のアメリカ西海岸カルチャーにも影響を与えていきます。

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新しい暮らしの象徴
Mid-Century Modern

 戦後、Mid-Century Modern の時代が訪れます。家具は単なる道具ではなく、「新しい暮らしの象徴」となっていきました。 Herman Miller や Knoll は、その中心的存在でした。Charles & Ray Eames は、成形合板やFRPといった新しい素材を使いながらも、人間味のある温かいデザインを生み出しました。 George Nelson は、家具だけではなく"暮らし全体"をデザインし、Florence Knoll は建築と家具を統合した空間づくりを行いました。

 また、Paul McCobb の家具は、特別な一部のためではなく、本当に広く生活の中へ浸透した家具だった。だからこそ今でもヴィンテージマーケットで非常によく見かけます。 それは、多くの人に支持され、実際に暮らしの中で使われ続けた証拠でもあり、 "生活者のためのモダニズム"を作った存在だったのだと思います。

 こうして見ると、アメリカ家具の歴史は、イギリスやオランダの生活文化から始まり、 シェーカーの倫理観を通り、Bauhausの合理性や Black Mountain College の実験精神を経て、Herman Miller や Knoll によって産業化されていった歴史とも言えます。

 しかし、その根底にはずっと、「どう暮らすと、美しいのか」という問いがありました。 だからこそ今、アーリーアメリカンやシェーカー家具が、改めて新鮮に映っているのかもしれません。

中原 慎一郎

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